家財が壊れたとき、先に迷うのは「請求できるか」だけではありません。自分の契約の対象か、免責を引いたあとにいくら残るか、保険と管理会社のどちらに先に話すか。この三つを先に確認します。賃貸で入る家財保険も、持ち家の火災保険に家財を付けた契約も、家具や家電のような家財と、建物は欄が分かれます。この記事では、使う前にその三つを分ける見方をまとめます。
まず避けたい初動
次の動きは、あとから原因を説明しにくくしたり、費用の負担でもめたりしやすいです。
- 片付ける前の写真を撮らずに、壊れた家財を捨てる
- 事故受付より先に家財を修理し、壊れた状態を消す
- 賃貸の建物を、管理会社より先に自分の業者で直す
- 解約済みの証券に残った電話番号へかけ続ける
- 自動車保険と同じつもりで、請求すると翌年の保険料が上がると思い込む
- 「保険が使える」と訪ねてきた修理業者に、請求の手続きを任せる
日本損害保険協会は、保険が使えると勧誘する修理業者や、請求を代行する業者とのトラブルに注意するよう案内しています。請求の窓口は、自分の契約先です。
安全の確保は先でよいです。漏電やガラスの破片など、被害が広がる状態を応急で止めることと、本修理や廃棄は別です。本修理の前に、写真と事故受付を挟むと安心です。
請求の前に見る三つ
見るのは、保険の対象、事故の種類、免責金額です。経年劣化か、その日の事故か、だけでは請求可否は決まりません。
家財保険は、火災保険のうち家財を対象にした契約です。建物と家財は、一つの証券に並んでいることも、別の契約のこともあります。壊れた物がどちらの欄にあるかを、「保険の対象」で一度見ます。自動車や、事業で使う商品は、家財に入らない契約が多いです。
補償される事故の種類も、契約で決まっています。火災、落雷、風災、水濡れ、盗難、不測の破損などは、付いているものだけが対象です。経年劣化や、自然の消耗は対象外になりやすいです。雨漏りが長年続いて家財にシミが広がったケースは、対象外と言われることがあります。台風の飛来物で家電が壊れたケースは、風災や外部からの衝突などの補償に入っていれば、対象になることがあります。
窓ガラスや外壁は、建物のことが多いです。家財だけの契約では、ガラス自体は対象外になりやすいです。ガラスの破片で傷ついた家具や家電が、家財として見る対象です。
地震、噴火、これらによる津波の損害は、家財を付けた火災保険でも原則対象外です。地震保険をセットしているときだけ、別の請求になります。台風のあとと、地震のあとは、同じ「災害」では見ないほうが安心です。
免責金額は、その額までは自分で負担する、という契約上の自己負担です。修理費が免責以下なら、請求しても保険金は出ない契約が一般的です。免責を超えても、超えた分だけが支払われ、修理費の全額にはならない契約もあります。少額の家電は、受け取りが修理費を下回る、またはゼロのことがあります。火災には免責がなく、風災や水濡れには免責がある、という分かれ方の契約もあるので、事故の種類とセットで見るとよいでしょう。
連絡は、家財と建物で分ける
家財の請求の本線は、今有効な契約の事故受付です。証券に書いてある番号へ、証券番号を添えてかけるとよいでしょう。代理店を通して入った契約でも、事故の連絡先は代理店だけとは限りません。代理店の休業日でも、保険会社の事故受付が別に書いてあることが多いです。乗り換えのあと、引き出しに残っている古い証券は、今の契約ではありません。使う番号は、今の証券に書いてある事故受付です。
賃貸で、建物、共用部、部屋の設備が関わっているとき(上階からの水、自分の部屋の給排水、窓や壁)は、管理会社にも連絡します。この連絡は、家財の請求そのものではありません。建物の修理業者は、管理会社の案内が先です。先に自分で建物を直すと、費用の立て替えでもめやすいです。家財の修理見積は、事故受付の案内に沿って取ると安心です。
管理会社へ話したことと、保険の事故受付へ話したことは、別の記録です。どちらか一方だけでは、「連絡した」ことにならないことがあります。受付番号はメモし、案内のメールは残しておくのがおすすめです。見積の段階で支払う契約と、修理後の請求書が要る契約があります。どちらが先かは、届いた案内が正です。
自分の過失などで借りている部屋を壊し、貸主へ賠償するときは、家財そのものとは別の特約です。借家人賠償が付いていれば、その損害賠償に使えることがあります。個人賠償(日常生活の賠償)は、他人への賠償が中心で、借りている部屋自体は対象外の契約が多いです。「家財は自分、建物は大家」と二つだけに分けると、この賠償の欄を飛ばしやすいです。付いているかは、証券の特約欄で確認すると安心です。
分譲や持ち家でも、建物と家財の欄は分かれています。壊れた物がどちらの欄かを、請求の前に見ておくとよいでしょう。
使わない判断
使わないかを決めるときは、修理費が免責に届くかを先に見ます。個人向けの家財保険には、自動車保険のような等級制度は原則ありません。請求したことだけで翌年の保険料が上がる、とは考えないほうがよいです。その理由で見送ると、受け取れる保険金まで使わずに終わりやすいです。更新のときに保険料が変わることがあるのは、災害の増加に伴う料率改定や、補償内容の見直しなど、自分の一回の請求とは別の理由です。証券に別の記載があれば、そちらが正です。
使わないときも、写真と、かけた受付のメモは残しておくとよいでしょう。あとから別の破損が見つかったときに、同じ事故の続きとして説明しやすくなります。連絡が遅れると、写真があっても原因の確認は難しくなります。保険給付を請求する権利は、行使できるようになってから3年で時効になります(保険法)。事故の日そのものから3年、と決めつけず、気づいたら事故受付へ先に連絡するのがおすすめです。
写真と、証券の置き場
写真は、部屋の中での位置が分かる一枚と、破損の寄り、型番が読める距離をセットにすると説明しやすいです。家財は、捨てたあとでは証明が弱くなります。発生日そのものは、写り込んだ時計やカレンダーでは証明できません。時計は時刻、カレンダーは掛かっている月を示すだけです。日時は、事故受付の記録と、撮影データで残すと安心です。
自治体が出す罹災証明書は、公的な支援や税の手続きで使う書類です。日本損害保険協会は、損害保険の保険金請求では、この証明書の提出は原則不要と案内しています。保険会社が求めるのは、写真、修理の見積、請求書など、届いた案内の書類です。証明書を待ってから事故受付へかける必要はありません。共済は書類が違うことがあるので、自分の契約先の案内に従うとよいでしょう。メールと書面が両方来て、どちらを出すか迷うときは、受付番号を添えて契約先に確認すると安心です。期限がある案内は、期限だけカレンダーに書いておくと漏れが減ります。
困るのは、請求の日に証券の置き場が分からないことです。引っ越しのあと、古い住所の封筒のままになっていることもあります。会社名、証券番号、事故受付の電話を、年に一度メモしておく運用がおすすめです。届出と当日の順番は 引っ越しでやること完全ガイド です。入居のときに補償へ入る話と、壊れたあとの請求は別です。
請求したあと
受付のあとにも、追加の写真や修理見積の期限が来ることがあります。案内の件名と受付番号を一つの場所にまとめ、出した日を一行で残しておくと安心です。自分のメモが残っていれば、担当が代わったあとも初回の説明をたどりやすいです。
賃貸では、管理会社の修繕と、家財の請求は別の進み方をします。建物側が終わっていても、家財の支払いが終わったことにはなりません。終わった側の連絡だけを、全体の完了と見なさないほうが安心です。
家財保険は、日常では開かない契約です。使う前に揃えるのは、対象の欄、免責、事故受付の番号です。まずは今の証券で、この三つを見てみてください。
次に読む
- 引っ越しでやること完全ガイド(転出・転入・当日の順番。請求そのものではない)
- 賃貸で水漏れが起きたときの初動(水が落ちた夜。止水と管理会社が先で、請求はあと)
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参考・確認先
- 今有効な保険証券、契約のしおり、事故受付(補償・免責・連絡先の正はここです)
- 日本損害保険協会(契約の相談窓口。災害時の案内では、保険金請求に自治体の罹災証明書は原則不要としています)
- 保険法(保険給付を請求する権利は、行使できるようになってから3年で時効)
- 賃貸で建物や設備が関わっているときは、管理会社の案内
よくある質問
Q最新の案内はどこで確認しますか?
今有効な保険証券と、契約のしおり、事故受付の案内が正です。賃貸で建物や設備が関わっているときは、管理会社の連絡先も別に控えておくと安心です。
Q請求すると、翌年の保険料は上がりますか?
個人向けの家財保険には、自動車保険のような等級制度は原則ありません。請求したことだけで翌年上がる、とは考えないほうがよいです。更新時に変わることがあるのは、料率改定や補償の見直しなど別の理由です。証券に別の記載があれば、そちらが正です。
Q自治体の罹災証明書は必要ですか?
日本損害保険協会は、損害保険の保険金請求では、自治体の罹災証明書は原則不要と案内しています。公的な支援の手続きとは別です。提出書類は、契約先から届く案内に従うと安心です。共済は書類が違うことがあります。
Q割れた窓ガラスは、家財保険で出ますか?
窓ガラスや外壁は建物のことが多く、家財だけの契約では対象外になりやすいです。割れたガラスで壊れた家具や家電が、家財の確認対象です。どちらの欄に入るかは、証券の「保険の対象」で見ると安心です。
